色恋ネタがないエンタメは売れないのか?
最近、NETFLIXでテレビドラマの『ウェンズデー』を見直してきました。配信されたばかりの頃は大ヒットで、早くもシーズン2が確定されましたね。それを見直してから、色恋ネタがないなら、本当に売れないものなのかを、改めて考えるようになりました。
よくホラー映画を見るんですが、欧米のホラー映画の中ではいきなりR18シーンになることもあり、「え?犯人・幽霊・化け物がいるけど?」それでも気にせず進めるんですが、「色恋がないと売れないのか」をよく考えていました。
アセクシャル自認ですが、アロマンティックじゃないんですが、よく色恋は人間にとっては自然ですと一緒に変に扱われるので、ここで少し一緒にしています。
私は元ネタのアダムズファミリーが好きで、1991年と1993年のアダムズ・ファミリーの映画版は何度でも見返しています。なので、思春期真っ最中のウェンズデーがどう現実社会と向き合うのか、すごく気になりました。
ウェンズデーが超能力者のための学園に入学してすぐ謎の怪物による殺人事件を目撃し、それを調査する物語です。
個人的には、元ネタのキャラクター、ウェンズデーは以前の作品では、やはり子供なので、恋愛ネタがほぼありません(1993映画版では冗談気味で初恋なのか?というネタはあります)。
1993年の映画のとあるシーンがすごく好きなんです。
モーティシア(母)「ウェンズデーは今、考えられることが一つしかない特別なお年ごろなんですよ」
金髪の女の子の母親「(男の子との)恋愛でしょう?」
ウェンズデー「殺人」
このシーンを何度見ても笑っちゃいます。こうやって自分だけを頼りとする賢い女の子がかっこよくて好きなんです。恋愛に興味を持たない思春期頃の女の子のキャラクターは映画、ドラマ、漫画は少ないので、とても新鮮でした。
問題点:無理やり押し付けた恋愛ネタ
なのに、この『ウェンズデー』のテレビドラマでは、無理やり色恋展開を押し付けた感じがします。個人的には、ウェンズデー・アダムズには、色恋路線が全然必要ないと思うし、つまらないと思います。侮辱かとすら思いました。
元ネタとの違いがあっても、ある程度は許されるものだと思います。漫画などの二次創作でも、ペアリングはファンが自由に想像してもいいと思うし、公式カップルがあっても別のペアリングを想像してもいいと思います。キャラクター本人の性格、本質が保たれていれば、その二次創作を受け入れる人はきっと一定数いるはずです。(ない場合では、読む人、買う人がいないだけで、とくに害はありません)でも、この場合はファンの一人が作った二次創作ではなく、プロばかりの制作陣が作った商業用のエンタメです。
個人的にウェンズデーの恋愛路線はいらない意見を置いといて、物語的にうまく書かれていないんですよ。もうちょっと、まともな書いていれば、私ももう少し受け入れやすくなったかもしれません。ウェンズデーは明らかにタイラーとゼイヴィアに興味がなく、調査に役立つし便利だからと声をかけていました(ほかの知り合いのように)。それはどう見ても、恋愛相手として興味があると誤解するはずがないと思います。なのに、その二人な彼女にべたぼれで利用されつづけます。
それ以外に、二人はキャラクターとしての描写が弱く、ウェンズデーましではキャラクターの一人として成立しないんです。犯人が明かされるまで、タイラーも、ゼイヴィアも、「ウェンズデーに惚れている男の子」以外は、ただ「カフェでバイトしてる人」と「絵を描く人」という印象しかありません。性格すら固まってない登場人物なんです。「恋愛ネタのためのキャラクター」として存在しているからです。
このせいもあって、誰が犯人か、関係人物の闇やその謎を明かす時間が少なくなった気がします。ビアンカのお母さんがセイレーンの力で一般人をカルト教団に入会させている話をもっと見たかったです。それに、やはりタイラーとゼイヴィアが登場人物として性格すら固まっていないから、恋愛シーンとされるべきシーンも二人の相性が悪く(ないというべきか?)つまらなくて飛ばしてました。
「色恋ネタは売れる」
ウェンズデー・アダムズの本質や性格に似合っていなくても、恋愛ネタがドラマに無理やり入れられたのは、間違いなく「思春期だから恋愛するもの」、「青春ドラマにはれない不可欠」と、一番大事なのが「色恋ネタは売れる」だからですね。役者や芸能界の人でも、色恋スキャンダルも「エンタメ」になってますからね。
恋愛や色情が人気でとんでもなく売れることは間違いなく事実です。ドラマ、漫画や映画などでも、名作とされるものの多くは恋愛テーマがありますし、それをうまく演じた俳優さんたちも大人気になります。世界中のどの国でもR18のコンテンツまたは行為自体を高くの金を払っても欲しい人はいっぱいいますからね。
色恋に個人的な経験があり、幸せになったり苦しくなったりする人が多いため、「誰でも共感できるもの」の一つとされています。でも、アセクシャルやアロマンティックの方には、大した興味はありません。アセクシャルやアロマンティックの方でも、色恋ネタやR18のコンテンツを楽しむ人も少なくないんですが、個人的には「誰でも必ずしも経験するごく自然なもの」として描写されたり、どの作品でも色恋ネタがあるとちょっと嫌になります。やはり、好きなキャラクターたちが幸せになるところを見届けたいものですからね。でも、『ウェンズデー』テレビドラマのように無理やり押し付けた場合はいやになります。
このテレビドラマ以外でも、そのキャラの成長、本人が望んでいるキャリアや夢にそぐわないのに恋愛ネタを押し付けられるのを見ると、やっぱりがっかりします。個人的に、少年漫画はとくにそうです。元から恋愛が物語の一部とされておらず、ただどこの一言や二言のセリフで「片思いしてます」が設定とされ、最終回で「結婚して子供産みました」で終わる少年漫画はとんでもなく失望しちゃいます。『ナルト』や人生を大きく影響した『ブリーチ』もそうです。「成長するとよく結婚して子供産むものだから」と言えども、忍者や死神が存在する面白い世界ならもっともっと面白い最終回を迎えるべきでしょう、と思うんですよ。
色恋ネタがなくても売れる:『ONE PIECE』
色恋ネタが主でなくても売れているエンタメといえば、ワンピースを思い浮かびます。
「ワンピースは色恋ネタがあるよ!何言ってるの?」というでしょう。
ありますよね。でも、それは主な登場人物や麦わらの一味がひとつなぎの大秘宝にたどり着く過程を影響しないものです。ボア・ハンコックがルフィへの片思いはルフィに全然届いていないし、ルフィは色恋に全く興味がなく、(そもそも理解していなさそう)冒険やワンピースしか考えていない人です。それに、ボア・ハンコック以外にも、色恋ネタが冗談とされるか、またはマイナーな登場人物の物語にしか直接影響しないものです。ボア・ハンコック、ナミ、ロビンは美女としてファンにアピールしてることは否めませんが、また、それがメインである冒険の物語に影響していません。
20年以上徐々に解き明かされる『ONE PIECE』の漫画の最大な魅力の一つであるその謎や冒険から焦点を逸らしたら、不満を感じるファンも多くいるはずです。超能力や千年の歴史や正義とはなんなのかを語る冒険の物語、『ONE PIECE』が「結婚して子供産みました」で最終回を迎えたら大炎上すると断言してもいいと思います。
尾田先生はどこかで、「ワンピースに恋愛ネタは入れない、少年漫画はそんなのいらない」とおしゃった気がします。尾田先生がいい物語の構成要素を理解しているので、その言葉を信じています。
かといって、ワンピースの面白さや尾田先生ほどうまく物語を書ける人は少ないので、色恋ネタがなくても売れる例としてはあまりよくない気がします。それ以外ですと、純粋に文学かアートまで到達できるほどのいいエンタメじゃないと、難しい気がします。色恋ネタで売るのは才能がないからとは言っていません。あくまでエンタメは見ている人たちが共感できるものや、需要に応えなければならないのですから。制作陣が食っていけるためにしているのなら、悪くは言いません。ただ、それを求める人たち、共感できる人達が大多数なので「売れる」のです。
かといって、無理やり色恋ネタを入れても、作品のクオリティが下がるだけだと思います。
色恋以外にも面白い物語がある
でも、英語圏ではとくに、最近は色恋ネタ、またはそういった展開にならないエンタメを求める声が多くなってきてます。もっと、面白い物語があるんじゃないか、と思ってますから。アセクシャルの自分にとって、そしてアロマンティックの方にとっても、みんな色恋ネタが好まないわけじゃないんですが、ただ、ほぼどのエンタメ作品にでも押し付けられているので、少々うんざりしてしまいます。
また原点である『ウェンズデー』に戻ると、元ネタのアダムズ・ファミリーは「普通」の概念をからかう作品です。不幸なものや邪悪な物事を愛する一家全員は「怖い」「おかしい」「化け物」扱いされますが、それでもいたって普通にお互いを愛し合う仲がとてもいい家族なんです。「普通だから」、「みんながやってるから」、「これが主流だから」といって必ずしもいいものではないということですね。
『ナルト』や『ブリーチ』でも、色恋ネタ抜きでもやはり面白いんです。面白い歴史事件は色恋がなくても面白いものです。リラックマの日常は色恋ネタがないんですが、面白いです。人が成長していく物語も面白いものです。
エンタメ作品では色恋ネタが浸透している問題を言うと、正直それをずっとみていると、恋愛、性行為、結婚、子供の出産が人として「自然」と思わせてしまうことです。周りの人がやってるから、エンタメでよく出てくるから「普通なことだから私もそれをしないといけない」と思い込み、のちに自分だけでなく他人を難しい事情に巻き込んでしまうことになります。「産まなければよかった」と言われた子供は、一生それを覚えてしまいます。この「普通」以外な道もあります。それも、エンタメでは反映してほしいものですが、色恋は売れるからと、あまり期待できそうにない気がします。
世界アセクシャルの日:4月6日
昨日、4月6日は世界アセクシャルの日でした。
アセクシャルは、他人に対して性的魅力を感じないことです。
当日に間に合わなかったのですが、アセクシャルあるあるや有名なアセクシャルを公表している有名人を紹介したいと思います!
記事の最後にはかわいい、かわいい🐈の写真があるかもしれませんよ...
アセクシャルあるある・よく誤解されること
アセクシャルなのかな、と疑問を持っている方、またはアセクシャルを理解したい方のために、アセクシャルあるある、よく誤解されることをいくつか紹介します。アロマンティックの方でも共感できると思います。よく、いきなり聞かれる質問や偏見あるあるです。
性行為は一切しないってこと?禁欲?
性的魅力を感じないアセクシャルの方でも、性的経験があって、アセクシャル自認したとでも性行為をする方がいます。性的魅力がなくとも、性行為をする理由は様々ありますからね。交際中の相手・結婚相手を喜ばせたいなどのいい理由も、強いられて仕方なくされる場合もあります。
交際・結婚はしたくないってこと?
アセクシャルの中でも、恋愛感情がある「ノンセクシャル」もいれば、アロマンティックな方もいます。交際したい、結婚したいアセクシャルの方も少なくありません!アセクシャルとの交際関係・結婚では、その関係に何が大事か、何を求めているか、異性愛者の交際関係と同じように、相互理解があればうまくいくものですよ!
スキンシップ、性行為、キスなどはありかなしかなど、話し合ってからがいいですよ。どの性的指向の特別関係でも、相互理解で成り立っているますからね。
アセクシャル・アロマンティックスペクトラムにいる方を2326人に調査が実施されました。調査相手の中では、アセクxアロマの方もいれば、ロマxアセク(ノンセクシャル)、アロマxセクもいます。この調査での「パートナー」は「特別な関係性を約束した人」を指しています。
報告によると、14%は「恋愛関係かつ性的関係のあるパートナーを一人欲しい」と答えました。71.8%は「望ましくない」と回答したのですが、このグラフでは、性的に惹かれなくても、恋愛感情がなくても、恋愛関係や性的関係のあるパートナーを望む方がいることが分かります。
「恋愛関係も性的関係もないパートナーを望むか」に対して、43.9%の回答者は一人パートナーが欲しいと答えました。この二つのグラフからわかる通り、アセクシャルやアロマンティックの方、または両方の方でも、特別な関係を望む人はいます。
異性愛者にとって、特別な関係ってつまり恋愛関係じゃないですか!と思うかもしれませんが、関係は人それぞれなもので、恋愛であってもそうでなくても、その関係にいる人たちが幸せで、誰かの邪魔になっていなければ、いいんじゃないかと思います。アセクシャルでも、そうでなくても「特別関係」は様々でいいんです。
トラウマを抱えてる?
これは、筆者以外のアセクシャルが聞いたらイライラするものなんです。異性愛者以外の性的指向の原因はトラウマじゃありません。どの性的指向であれ、トラウマを抱えていることがあります。
性行為に嫌悪感がある?
性行為に嫌悪感を持つアセクシャルはいますが、全員というわけではありません。上に引用したアズループの調査で見えるように、アセクシャル自認でも様々な方がいますから、付き合う前に確認したほうがいいです。
魅力がない・シャイな人の言い訳なのでは?
これは正直怒るしかない気がします。その人が他人に惹かれるようと惹かれまいと、どれほど人気があってもなくても、その人自身が「性的魅力」を感じなければ、アセクシャルです。性的指向は、その人自身が一番わかるものです。
次に紹介するアセクシャル自認の有名人に対してでも、性的に惹かれた人もいるはずです。みんな、きれいで素敵な方ですから。でも、他人に惹かれたからってだけで性的指向は左右されません。
異性愛者が同性の方から好意があっても、その人自身は異性愛者であることに変わらないのと同じです。
自分にぴったりな人に出会えてないだけなのでは?
これはアセクシャルだけでなく、アロマンティックの方でもよく言われるものです。恋愛やセックスに興味がないなんて、おかしいと感じ、理解できない人がいっぱいいます。
筆者は二十代半ばです。欧米でも日本でも、人気があるなセレブ、モデル、知り合い、付き合っていた相手誰一人に対して性的魅力を感じたことなんてありません。誰かの性的指向はその人が一番理解しています。
性的指向はスペクトラムなので、変わるかもしれませんが、自分自身の性的指向は他人が決めるものじゃありません。
主なアセクシャルへの誤解や偏見について少し書いてみました。アセクシャルな方であれば、あるあるですよね...
アセクシャルを理解したい方ならば、いきなりアセクシャルの方に直接質問していくより、ネットで少し調べたほうがいいですよ。そうでなければ、かなり失礼な印象を与えることになります。理解できない人に対しても、礼儀正しく接するべきです。
筆者はアセクシャル自認してから約一年経つんですが、親友にしかカミングアウトしていないので、実際このような質問をされたことはないです。されたくないので、公言していません。知り合いの中では誰が理解があるか、誰がこういう失礼な質問を聞いてくるか、なんとなくわかるものですからね。
なので、アセクシャルだけでなく、LGBTを公言している方はみんな勇気があってすごい方だと思います。そういう方を、いくつか紹介していきます。
アセクシャルを公言している有名人
中山咲月さん(俳優・モデル)
俳優・モデルとして活躍している中山咲月さんは2019年にトランスジェンダー・アセクシャルであることを告白しています。
その前に、「ボーイッシュな女性」「ジェンダーレス」で注目を集めていましたが、フォトエッセイ『無性愛』では「中性的を突き詰めればベースは『女性』。周りが求めるジェンダーレス像は自分を消した上でしか成り立たないものにいつしかなっていた」と明かしています。自身のブログでも、その経験について書いています。
本当にかっこいい人で、アセクシャルを公言している理由としては、公表する必要性を感じないんですが、無意識に傷ついたことがたくさんあり、公言していくことでそれを回避できるのではないかと思いました。
鎌谷 悠希さん(漫画家)
『隠の王』や『少年ノート』を描いた鎌谷 悠希先生はアセクシャルでXジェンダーを公言しています。
鎌谷先生は自身は10代の頃、自分の性別やセクシュアリティに違和感を感じ、女性扱いされることに辛く感じました。
漫画『しまなみ誰そ彼』では、鎌谷先生の経験があったからこその作品かと思います。10代の少年が自分のセクシュアリティ、差別や偏見に悩む物語です。先生はこの作品ではLGBTを知ってほしいという目的もなく、ただみんながバラバラで、理解し合えないくても、一緒に生きていける、という思いで描いたらしいです。
東友美さん(町田市議員)
東友美さんは2018年にアセクシャル・アロマンティックでXジェンダーであることを公表しました。
東京都町田市の議員と務めている東友美さんは、性同一性障害の学会に参加したことをきっかけに、自分がアセクシャルであることに気付きました。それ以降、性的マイノリティの相談窓口の設置を求めるような議員活動をしています。
アリス・オズマンさん(英国の作家)
NETFLIX配信中の『HEARTSTOPPERハートストッパー』シリーズはゲイの高校生やその学園生活を語るロマンティック・コメディーです。シリーズの基であるグラフィック・ノベルを描いたアリス・オズマンは、アセクシャル・アロマンティックであることを公表しています。
彼女自身は子供の頃、周りのみんながセレブに夢中になっていても、片思いしたこともなく、誰かと付き合いたいとも思わなかったことで、寂しいと感じたと話しています。
『ハートストッパー』シーズ2では、アセクシャル自認のキャラクターも注目されるので、期待しています。
なかけんさん(ユーチューバー)
LGBTユーチューバーとして活躍しているなかけんさんは、アセクシャルとしての恋愛観や様々な考え方の動画を投稿しています。
大学、企業や様々なSNSで多様な性のあり方について講演や活動をしています。ありがとうございます!
もういいから、猫見たい!!
うちの猫は白黒なので、「グレイと紫足せばアセクシャルの旗だ!!」とうれしくなります。5歳あたりの保護猫♂です。餌をもらえるなら、ひどいことしなければ、付きまとって懐く警戒心のない子です。皆様、よい世界アセクシャルの日を!
アセクシャルを自認するまでに
筆者がアセクシャルだと気づいたのは、約一年前の事です。
誰かが読んでくれるかどうかわかりませんが、ただ、自分の性的指向に気付くまでの経緯を記録に残したかったです。
- 香港での子供時代や中高生時代:おかしな性教育
- セクシャルマイノリティを知る中高生時代
- イギリスの大学生時代:「恋愛」と「性行為」ってなぜ当たり前?
- 英語勉強しなおさなきゃ、と思った翻訳学科大学院生
- カミングアウト
香港での子供時代や中高生時代:おかしな性教育
子供の頃は「アセクシャル」という言葉も、LGBTについて何も知りませんでした。
大きくなると男の子と恋に落ちて、付き合って、性行為をして結婚することがごく普通なことで、自然だと思っていました。香港もかなり保守的なので、LGBTの話題や下ネタ以外に性的な話しはしません。
小6の時、学校から「性教育」を受けましたが、言うまでもなく男女関係しか教えず、セクシャルマイノリティについてなにもありませんでした。
「卵」+「泳いでるもの」=赤ちゃん としかわかりませんでした(笑)
擬人化された猫のキャラクターで親戚関係でも、痴漢行為されることはあるアニメがあったことは覚えています。しかし、当時はそれが「痴漢行為」というものだったのか全く分かりませんでした。「なんか、見てていやな感じがする...」としか思いませんでいした。
なぜ猫だったのか....人体に猫の顔で性教育って...なぜ...
色んな意味で不十分すぎる性教育でした。
セクシャルマイノリティを知る中高生時代
中学生の頃は、ネットでユーチューブ見たり、アニメや映画を見たりすることで、同性愛者がいることを知るようになりましたが、それ以外のセクシャルマイノリティがあることは知りませんでした。
それ以外に、中学二年生の頃に姉にBL漫画を勧められ、それ以降は人生が変わったのであったが、それは別の話です。
中高生だった時は三回、異性と付き合ったんですが、長続きしませんでした。悪い人ではなかったんですが、漫画やテレビで見た「楽しく、ふわふわでドキドキ」な感じが全然ありませんでした。「付き合え前と付き合い始めた後って違うものだな」という結論に至りました。それに、勉強に集中したかったんです(勉強、好きです)。
ちょうど高校生の頃、ゴシック文化にハマっていて、フォローした画家がアセクシャル自認の方でした。毎日ファンタジー映画のキャラクターのように着飾るので、いまだにフォローしています。
そこではじめて「アセクシャル」というセクシャルマイノリティがあることを知りましたが、自分はきっとアセクシャルじゃないと思い、それが何なのかは追及しませんでした。正直、大学院生までは「アセクシャル」という概念があることを忘れていました。
そして、自分はただ付き合うことに向いていないと思ったまま、大学生になりました。
イギリスの大学生時代:「恋愛」と「性行為」ってなぜ当たり前?
学部生として交際相手を探そうともしませんでした。個人的にセックスするなら付き合えるほど仲がいい相手がいいと思ったので、交際すらしていない自分はセックスについてあまり考えませんでした。
大学生の頃に、ふと考えてしまうことがありました。
「好きな相手、付き合っている人たちはセックスをする」とわかっていましたが、「恋愛感情ってどうやって、この人とセックスをしたい感情になるの?」と考えていました。
よくあることだとわかっていても、点と点が結びつかなかったんです。よく「好きな人に触りたいし、触れられたい」と聞きますが、いまいち理解できませんでした。
「性欲」と「性的魅力」など、様々概念やその違いすら知りませんでしたからね。今思えば、これがアセクシャルであるヒントだったかもしれません。
英語勉強しなおさなきゃ、と思った翻訳学科大学院生
そのまま学部生卒業して、コロナやメンタルがやられたので少し休んだあと、翻訳の大学院に行きました。
もうすぐ24歳になる自分は、「あれ?周りに交際していて、結婚しはじめてる人いるけど、これほど長く誰とも付き合ってないのって、少しやばいんじゃ?」と焦って、マッチングアプリを使うことになりました。
それでデートもして、スキンシップを持つようになることもあったのですが、以前の同じく、それほど興味がなく、疲れるものでした。幸い、トラウマや非常にいやな経験をすることはなかったんですが、触れられて少しだけいやだとは感じました。
そして、課題や論文で忙しいこともあって、マッチングアプリを削除しました。交際や性行為など、無理をしてもしなければならないものじゃないですからね。自分にとって、無理するほど気になるものでもありませんでした。しかし、なぜ、他人のように興味がなく、デートやスキンシップを楽しめない自分がおかしいとは思いました。
さらに悩み始めると、このころ周りに出てきたり、ネットで見かけたりした「アセクシャル」について色々調べました。
ちょうど大学院のハウスメイトが、トランス男性(FtM)でアロマンティック・アセクシャルな方だったので、少し相談に乗ってもらいました。
24歳でいきなり疑問しはじめたことに不安を感じた自分に、「実際大人になってからアセクシャルだと気づいた人が多いよ!!私みたいに運よく若いころに気付いた人は結構少ないよ!」と言われて、ほっとしました。
自分は性欲はある人なので、「本当にアセクシャルなの?」と疑っていました。ネット上の英語資料によると、アセクシャルの中でも、性行為したり、性欲あったり、恋愛感情なかったり、性行為に対して嫌悪感があったり、多様性があるコミュニティであることを知りました。しかし、自分は本当にアセクシャルなのかどうか、疑っていました。
「もし、自分が将来「性的魅力」を感じたなら、どうなるの?嘘をついてたことになる!」と悩んでいました。
さらに悩みに悩んだある日、フォローしているアセクシャルについての情報を広めるアカウントの投稿をみました。
「私は、アセクシャルなのでしょうか?」とタイトル通り、悩んでいたことが大きい文字で書かれていました。
「少しでも、アセクシャルのスペクトラムで自分が見えるなら、そうなんじゃないでしょうか。性的指向は自認するものなので、クエスチョニングしているのなら、アセクシャルである可能性が高いですよ。’’ACE"と証明できるものなんてありませんが、アセクシャルによく見られる特徴はいくつかあります。」
「例えば、性的な意味で誰かに興味を持ったことがないこと。誰かに惹かれたことがあっても、その人と性行為をしたいと思うことはなかった。’’性的魅力’’を感じたことがあるかどうかも分からない。’’性的魅力’’自体がどういうものか、どういう感情なのかも理解できない。」
挙げられた例で過去を振り返ったら、実際に誰かに性的魅力を感じたことなんてありませんでした。付き合う相手も、大好きなバンドメンバーも、かっこいいと思った役者なども。その「気持ち」もよくわかりませんでいた。ピンときませんでした。
SPYxFAMILYのアーニャのとぼけた顔を想像してみたら、そういう感じです。
性的魅力を感じたことがあるかを思い返す「え?????」という過程で、「うん!アセクシャルです!」と気づきました!
他の性的指向と比較すると、「アセクシャル」って自分が感じたことがないもので自認するものなのが面白いです。
少し余談ですが、英語圏ではよく”He/she/they are so HOT!!"と言われます。筆者は英文学や翻訳を勉強しておきながら、ずっとこれが「この人、すごくきれい・かっこいい!!」という意味だと思っていました。
実際、誰かを''HOT"と言うのは、見た目がきれい・かっこいい以上に「この人と性行為したい、この人に対して性的に惹かれている」という意味合いが含まれていることに、初めてわかりました(笑)。これは英語圏のアセクシャルあるあるです!自認するまでに知らなった人が多いです!
話に戻りますと、アセクシャルなのかどうかと悩む結果、「性的魅力」ってなんなのか全く理解できないことに気付き、アセクシャルだと気づいてようやくしっくりきました!
自分みたいに「性的魅力」という感情が謎だと感じる人が他にいっぱいいる、性的魅力を感じない自分はおかしくないとわかって、ようやく居場所を見つけたようでした。
カミングアウト
カミングアウトは、親友だけにしてあります。
セクシャルマイノリティへの理解がどんどん深まれていく時代ですが、いまだに偏見が多いことは承知しています。LGBTコミュニティ以内でも、「アセクシャル」はまだ理解が少ないアイデンティティです。
なので、カミングアウトは、親友だけにしています。
多様性を大切する価値観を共有している親友ばかりなので、「よかったね」、「教えてくれてありがとう」、「君は君のままでいい!」という優しい反応でした。
アセクシャル自認した後はもやもやが消えて、ホットした気分になりました。自分のような人たちがいることに、うれしく思います。
実際気づくまでに調べるのによく英語の資料を読んでいました。英語に比べて日本語の資料が少なく、以前書いた通り「アセクシャル」の定義自体も違ってたりするので、これからは役に立つ情報を翻訳してブログに乗せていくつもりです。
アセクシャルから学べるものは?
アセクシャルから、学べるものは?
文化によって違うのですが、「初めての性行為を経験した」年齢を超えると、少し疑いの目をかけられます。イギリスでは高校生、大学生あたりで初めての性行為を経験するらしいです。日本は大学生年齢のあたりな気がします。
「この歳でまだ付き合ってる人(異性)がいないの?」と言われた人も少なくないんじゃないでしょうか。
ちなみに、筆者は大学時代にベリーショートヘアをして、中性的な衣装を好む時期がありました。そのころに、母親が姉に「(筆者)って、レズビアンなの?」と非常に婉曲的に聞こうとしたらしいです(笑)。母親には「レズビアン=男装、おてんば娘」という偏見を持っていますから...その時はまだ、アセクシャルであることに気づいていませんでした。
本題に戻りますが、中高生や大学生の時期だと、勉強、サークル以外にも、恋愛、交際、性行為に興味を持つ人が多いですよね。社会人になっても、恋愛、交際や結婚を考えている人も結構いますよね。テレビ番組、アニメ、少女漫画などでも、恋愛、結婚、性行為などがよく描かれていますからね。
探りたい人であれば、自分を危険な相手や状況に身を置いていなければ、他人を傷つけていなければ、それはそれでいいと思います。
アセクシャルの話につながると、交際、性行為などを経験した人もいれば、していない人もいます。アセクシャル自認している人々の中には、それでも性行為して、交際している人もいます。
アセクシャル自認の筆者は、「周りのみんなもやってるから、自分も」という考えに気を付けるべきだと思います。交際、結婚、性行為は自分の生活と密接になるものです。いやで、無理してしまうことになるなら、やめるべきだと思います。今は時期じゃないかもしれませんし、一生興味がなくてもいいんです。
とくに、性行為や交際は、無理して、無理をされると、人生に残るトラウマになりかねません。人にはそれぞれのペースがあります。
アセクシャルでいると、かなり「性行為は?交際は?結婚は?」と質問されたり、「理想の人生」、社会や政府の期待で生まれた偏見を向けられることがよくあります。自分には合わない、他人の「理想とする人生」をメディアや文化に押し付けられる気持ちは、アセクシャルコミュニティが強く理解しています。
アセクシャル自認であろうと、そうじゃない人であろうとも、アセクシャルコミュニティは社会の期待や「結婚して家族を始める」を押し付けられて苦労している方を応援すると信じています。
アセクシャルとは?
アセクシャルって何なの?
アセクシャルとは、「他者に対して性的に惹かれない」性的指向です。
「無性愛者」「Aセクシャル」とも呼ばれています。
「アセクシャル」という言葉はよく「アロマンティック」とセットで出てくることです。ここで重要なのは、アセクシャル≠アロマンティックということです!
アセクシャル:他人に対して性的に惹かれない (恋愛は言及しない)
アロマンティック:他人に対して恋愛感情を懐かない(性的に惹かれるかは言及しない)
二つとも違うので、アセクシャル・アロマンティックの両方を自認する人もいます。
翻訳者からみる、「アセクシャル」の定義
ここで少し、翻訳者としての観点から見た「アセクシャル」の定義やその問題点について話したいと思います。そのついでに、少し専用語彙も説明します。
普段英語でクイアーカルチャーを触れていましたが、いざ日本語で「アセクシャル」の定義を調べてみると、様々な言葉や定義が出てきました。
いくつか例をあげますが、「アセクシャル」は
「他者に対する性的欲求を抱かない」✖
「他者に性的魅力を感じない」〇
「他者に対して性的に惹かれない」〇
とよく定義される。
ここで一番問題なのは、「性的欲求」という言葉です。英語から訳した中、翻訳で生まれた問題としか思えません。
「性的魅力」と「性的欲求」は同じものじゃありません!
前述のように、アセクシャルは「他者に対して性的に惹かれない」性的指向。
「性的魅力と性的欲求ってどう違うの?わからないんだけど...」と思う方も多いはず。
「性的欲求」とはつまり「性欲」です。「セックスを求める衝動や欲望」を指しており、性欲があるかどうか、強いか弱いかは、個々によるものです。それ以外にも、性欲はストレス、年齢、薬物、障害などに影響されやすいものです。
セクシャルマイノリティでもそうじゃなくても、性欲がある人と性欲がない人もいます。アセクシャルでも、性欲がある方はいます!
🧸「うん、やはり、どういうことなのかわからない...」
例えば、知り合いか、顔なじみがある人を数人思い浮かべてみましょう。お好みの性別やジェンダーでいいです。
その人と、性行為をしたいですか?
「この人と、性行為をしたい」「触りたい、触れられたい」ならば、その人に「性的魅力を感じている、性的に惹かれている」ということです。
それは好きな相手、恋人、見知らぬ人、セレブでもいいんです。
そして、性格がよく、いい印象を持っている方でも、「いい人みたいだけど、性行為はしたくないなー」と思うこともあるはずです。性欲があっても、そう感じるのは普通なのではないでしょうか。
文を見ると、「他人に対して性的欲求を持たない」は「他者に性的魅力を感じない」と少し違います。
前者の定義だと、「性欲はあるけど、誰にも向かれていません」というのは、少し合っているのですが、アセクシャルの中には、性欲がある人も、ない人もいます!
前述のように、「性的欲求」はもう少し生物学的で個人の生活習慣などに影響されるもので「性的魅力」とは別物です。
これに問題を感じて、なにか書こうと思ったのは、自分の性的指向に疑問を持っていて苦労している方やLGBTQを理解しようとしている方がいたら、大変混乱してしまうと思ったからです。
それ以外には、クイアーカルチャー自体はまだ偏見まみれの上に、「性行為」やそれにまつわるメディアや文化は複雑だからです。日本文化やアジア文化自体は性行為など、健康的な性教育でも、直接に語ることを避ける文化なので、なおさらです。
言葉には力があります。それを誤って使ってしまうと、人が傷つけてしまうんです。そして、直接に傷つけなくても、言葉自体でも簡単に誤解を生むものです。言語って、複雑なものですからね。
今度は以上です。翻訳者からの、だいたいな人にとってはつまらないだろう話をかかせていただきました。ブログ初心者として、これからもっと面白い話を書こうと思います。